島で“あの”時代を過ごした、「一分間」。
二つの時空を超えて、かえがえのないふたり。
●大久野島・毒ガス工場を舞台にした
ファンタジー小説
企業戦士としての忙しい日々を終え、ひとり安らぎの時間を過ごしていた隆司。スマホの画面を眺めていると、ふと、ある画像に目が留まった。耳をぴんと立てた一匹の白いうさぎ――。
「そうだ。あの島へもう一度行ってみよう……」
あの時の仲間たちに久しぶりに連絡を入れ、隆司は新幹線に乗り込んだ。もう一度、あの人に“会う”ために。
広島戦時下の大久野島を舞台にした、不思議なファンタジー仕立て。
主人公ふたりの淡い恋心、楽しい友人との時間、島での工場の現実とは? 隆司と過ごした時間で救われた幸子の心――。
広島の戦争に纏(まつ)わる史実について、異なる角度から感じられる今夏の一冊。
●著者紹介/今泉英明(いまいずみ・ひであき)
1957年愛知県生まれ。1980年大阪工業大学卒業後、切削工具メーカに入社。製品の設計、開発に長年携わる。著書に『目利きが教えるエンドミル使いこなしの基本』(日刊工業新聞社)がある。学生時代の旅行以降、社会人となっても広島をたびたび訪れ、被爆とは異なるもうひとつの戦争の爪痕が残ることを知る。
今泉英明 著
●2021年7月27日発売
四六判、128ページ
定価1100円+税